プロジェクト

PROJECT

受験生のこころに
とことん寄り添い
大学の危機を救う。

受験生のこころに
とことん寄り添い
大学の危機を救う。

THE PROBLEM

課題

定員割れを防ぐために、前例のない手を打つ。
前年度に初めて入学者数が定員割れしてしまったA大学。学生確保が大きな課題でした。教育の質を守るためにも、安易に合格ラインを下げられない。となると、残る手段は、合格者の入学の歩留まり向上策しかありません。悩む大学に、まなび領域のプランナー秋吉佳那は、自主提案を行いました。提案のヒントは、オープンキャンパスにありました。在学生のホスピタリティが驚くほど高く、高校生が感激していたのです。でも、オープンキャンパスに来校しないまま入学をする受験生も多い。入学前に大学を訪れるのは入試日のみという受験生に、在学生とコミュニケーションがとれる新しい場をつくれば、入学意欲を高めることができるのではないか。そうして仮説を立て、入試日に在学生が受験生にエールの気持ちを込めたカイロを渡す企画を、さらに合格通知と共に、在学生のエピソードをまとめた冊子と合格お祝いムービーを送ることを提案しました。他校では前例のほとんどない取り組みでした。
THE PROCESS

プロセス

在学生からの猛反対で、「ズレ」に気付く。
具体的な内容を詰める段階になり、壁が立ちふさがります。「入試という人生を左右する日に、かえってマイナスな印象を与えてしまうのでは」と、どの案もクライアントからのOKが出ないのです。そこで、秋吉は、企画に協力してくれる在学生の代表チームに、チアガールの衣装案と、企画をみてもらい、受験時代の自分ならどう思ったか率直な意見を聞きました。その反応は「いやです」と思いも寄らないものでした。「『人生がかかっているときにチアガール衣装・・・ふざけていると思う』と言われてハッとした」と秋吉は言います。想定していた受験生のインサイトとのズレに気付き、彼女は受験生に一番近い存在である在学生の声を徹底的に聞くことを始めました。入試までの時間はあまり残されていませんでしたが、在学生78名へのアンケートと、25名へのヒアリングを実施したのです。
THE SOLUTION

解決策

「応援する」のではなく、「寄り添い見守る」。
アンケートから意外な事実が浮かびあがりました。45%の学生が、第一志望から落ちた結果、不本意に入学していたのです。不本意入学者の声こそが、企画の成否のカギでした。
秋吉にとって、学生の意見は予想外のものも多かったと言います。たとえば、入試日にカイロを配布して受験生にエールの想いを届けることに対し、ある学生は「カイロを先輩からもらうのは嬉しいけど、がんばれとは言わないでほしい」というのです。その理由は「その日まで散々がんばれと言われ続けているし、試験日にはじめて会う、先輩になるかもしれない人に応援されても緊張するだけ」というものでした。一つひとつの声に、秋吉は受験生のことを理解できていないことを痛感しましたが、そのズレを埋めるのはプレッシャーもありつつやりがいのあるプロセスでした。
応援するのではなく、在学生たちが受験生にそっと寄り添いエールを送ろう。学生たちの声が、秋吉に企画のシフトを決断させました。
THE RESULTS

結果

こころに寄り添うコミュニケーションで受験生が動く。
試験日当日。カイロを渡す在学生の服装は私服に。先輩たちの日頃のファッションが一番気になるはず、そんな在学生の声からです。受験生にかける言葉は彼女たちに任せました。緊張の面持ちでやってくる受験生。その顔が、彼女たちの一言でほぐれていきます。その反応を見て、挨拶だけだった受験生への言葉が、一人ひとりに合わせたコミュニケーションへ変わっていきました。在学生の中に、強い当事者意識が芽生えていました。
そして、合格発表の日。合格者の元へ、合格通知と一緒に、冊子と動画のURLが入った重たい封筒が届いたのでした。
この年、クライアントの入学者数は、前年度より増加。合格から入学の歩留まり率も大幅に改善しました。実際の動画を視聴して入学した学生にインタビューができ「先輩たちの楽しそうな姿に前向きになれた」という声を聴くこともできました。秋吉はそれによって、人のこころを動かすこの仕事の喜びと、責任感を感じることができたと言います。
今までとは異なる視点を取り入れたこの取り組みで、秋吉はリクルートコミュニケーションズ全社表彰、リクルートグループ全体でも表彰・取り組み共有など大きな成果を残しました。


※2018年6月取材情報に基づく
STAFF